こんにちは! フリーライターみみ子(@minimarikon)です
〇 見積金額をいくらで出せばいいかわからない
〇 見積書に書くべきことは?
いきなり「こういう仕事いくらでできる?」と聞かれても、試算するの難しいよな。見積書をつくるときの考え方や注意点をお話しするで
ライター歴が長くなると、初期にはなかった「見積もりください」という相談が増えます。「急にそんなん言われても……」と戸惑いつつGoogle先生に聞いても、最適解を見つけられないことがほとんど。
この記事では、「見積もりください」と言われることが増えた中級~上級ライターさん向けに、見積もり金額の考え方、計算方法、見積書の作り方をお伝えします。
- 見積金額の算出方法
- 見積書の備考欄に書くべきこと
- 見積もり金額からの増額交渉
- 見積書テンプレートの作り方
見積もり書の作り方がわからない……
ライター初期はすでに文字単価やページ単価などの報酬が決まっている募集に応募することがほとんど。なので見積もりというアクションに触れないまま、ライター歴を積んでいくことになります。
そしてあるとき突然訪れる、クライアントからの「見積もりください」というご相談。
わたしもそれまでは自分の報酬単価を持っていなかった(クライアントの呈示する報酬で仕事を受けていた)ので、初めてのときは、
予算聞いても教えてくれないし、何を目安に見積もればええんや……
と頭真っ白。いつもは大助かりのGoogle先生に「ライター 見積もり」、「ライター 見積もり相場」などを聞いても、ジャストな答えを見つけられませんでした。
見積もりって言われても、ライターの報酬相場も自分の適正価値もクライアントの予算もわからないし、いったいどうやって……
というシーンがライターをしているといつか訪れるはずなので、現役ライターのわたしが実践している「見積もりください」の対応方法をご紹介します。仕事内容や業界によって違う部分もありますが、こんな考え方もあるよということで。
現役ライターみみ子の見積書作成方法
見積もり依頼があったら、この流れで進めます。
- プロジェクト内容やスケジュールを確認
- 時間単価・ページ単価・文字単価どれが適正か検討
- 単価から見積金額を試算
- 見積書pdf送付
キモになるのは①。「こういうプロジェクトのライティングをお願いしたい」とざっくり相談をもらうことがほとんどですが、それだけだと不十分すぎて試算できないので、追加のヒアリングが欠かせません。では、各項目の詳細をみていきましょう!
①プロジェクト内容やスケジュールを確認
大事なのはココ! 仕事内容をしっかり把握して、どれくらいの時間や思考が必要になるかを試算しなければ、見積もりはできません。
相談をくれたクライアントに確認すべきはこのあたり。
- (代理店経由の場合)どんなクライアントか
- プロジェクト全体図
- ↑のなかで自分がすべき仕事
- スケジュール感
- 予算感
⑤の予算感があれば、見積書も作りやすいのですが、たいていナイです。
ということで①~④を確認していくのですが、なかでも大事なのは③。プロジェクト内容よって確認すべき項目は変わりますが、ここではオウンドメディアの記事執筆を依頼されたケースで考えてみましょう。
・企画出しは誰がやるのか
・1記事あたりの総文字数
・統一表記はあるか
・写真は誰がどこから調達するのか
・タグやカテゴリ、投稿時間設定などは誰がやるのか
・執筆した記事の修正は発生するか
・1か月の執筆本数目安
・原稿納品方法(テキストベタ打ちでいいか、ワードプレスなどに入力するか)
・打ち合わせ有無
・取材有無
・交通費支給有無
ライトなケースだと、記事企画はすでにあって、1記事1000文字程度で、写真の選定はライター側ではナシ、納品した原稿は先方のディレクターが適宜校正するので赤字戻しや修正不要、という内容。これだと用意されたテーマで書くだけなので、単純に「1記事いくら」と考えればよし。
一方、ハードなケースだと、企画出しから参加、記事テーマは企画会議でもんで決定、1記事は2000文字以上でガッツリめの統一表記ルールあり、写真はライター自身で撮影するかもしくはストックフォトサイトから選定して自身で適宜記事に入れ込む、納品した原稿はディレクターからの赤字修正が1~2回あってFIX原稿までライターが仕上げる、という内容。
このハードケース、全然ありえるけどわたし的には想像しただけで気が重くなるわ。。。
特に時間がとられるのは企画出しや記事の修正。これらが入ってくるとその費用をしっかり見積もりにのせんと、あとから悲惨なことになるで
でもハードケースだと仕事量が多いから、報酬も高く設定していいんですよね?
いや、ライティングの依頼に慣れていないクライアントだと、ライター側の細かい業務まで思考が及ばないから、それらの業務分も加味して見積もりをつくると「あんた1記事こんなに高いんか!」となる可能性も……。
だからこそ、しっかりヒアリングすることで、「こういう作業が必要で、これくらい時間がかかって、だからこれくらいの見積もりも適正だよね」というのを先方に感じてもらう必要があるわな
ここではオウンドメディア運営を例にしましたが、取材案件やインタビュー案件、PR系制作物案件などでも基本は同じ。
見積もり相談を受ける時期は、まだプロジェクト全体がクライアントにも見えていないことも往々にしてあり、明確な話が聞けない場合もあります。なので、その時点での可能な限りの内容を教えてもらえるよう、上記を質問しながら会話を引き出していきましょう。
② 時間単価・ページ単価・文字単価どれが適正か検討
プロジェクト全体図と自分がやるべき仕事内容が把握できたら、次は見積もり試算です。
時間単価・ページ(記事)単価・文字単価のうちどの試算方法がいいかは、クライアントの希望があれば聞いて、相談します。
ただ、ない場合が多い。こちらの提案次第です。
どう試算するかを決めるときのポイントはシンプルで、クライアントにとっても自分にとってもわかりやすいか、ということ。
オウンドメディアなら記事単価、紙媒体ならページ単価をベースにしつつ、取材や打ち合わせがあるなら時間単価で計算したり、企画設計費や交通費を必要に応じてオンすればええんやないかな。
個人的にはライティングというアクションに対して、時間単価や文字単価を適応するのは好みやないんや
時間単価だといい文章を早く書いたって安くなっちゃうし、文字単価だとだらだらまとまりのない文章を書く方が高くなっちゃう……
ライティングスキル&成果物と報酬がちぐはぐになりますね
ただ、記事単価には落とし穴も。1記事のボリュームが想定より大幅に膨らんだり、記事執筆にあたって調べものが膨大なときなどは、「その記事単価じゃ全然割に合わない……」となります。なので、それも加味した見積書にするとベストですね。また次の章でお話します!
自分の報酬単価の考え方
仮に記事単価にすると決めた場合、「じゃあ1記事いくらが適正なのか」でまた悩むわけです。ここはほかの仕事との兼ね合いを見ながら、自分のさじ加減で決めるしかありません。
当時、某雑誌のオウンドメディアで1記事4000円で書いていました。条件は、雑誌掲載記事のWEB用リライト(企画出しなし)、1000文字程度、ワードプレス入稿、写真は既存活用、赤字修正対応なし、月4本以上、というもの。1記事は1時間程度で書けます。
これと比較して考えます。
そしてこの依頼は、新規記事作成、企画出し必要、1500文字程度、ワードプレス入稿、写真はストックフォトサイトか自己撮影、赤字修正対応あり、月本数未定、というものでした。
1記事書くのに企画出しも含めて2時間はかかりそうなイメージでした。
そこで、わたしが出した見積もりは、1記事1万円(写真撮影ある記事は+2000円、取材交通費別途、打ち合わせ参加費別途1.5万円)でした。
今までの仕事の内容や作業量、かかった時間などを参考に、いくらならこの仕事を受けても納得して取り組めるか、を考えるんや。
「安くても実績積むためにどうしても受注したい」とか「制作本数多いからボリュームディスカウントしてもいいかな」とか、気持ちの部分を加味してもOKやで
今までの仕事&報酬をベースにすると考えやすいですね。ネットで「ライター 報酬 相場」と検索しても、いまいち自分や案件にフィットしなかったので、この方法で思考してみます!
そうやな。市場の相場は一応あるけれど、ライターの見積もりに正解はないんや。市場相場と自分の適性価値も考えつつ、最終的には「この仕事でいくらほしいか」を提示すればええよ。
前に医療機器商社の営業マニュアル作成の見積依頼を受けたんやけど、さすがのGoogle先生もその仕事の報酬相場は教えてくれんかったわ(笑)
あと、「企画運営一式 50万円」みたいなざっくりした見積もりはもちろんNG。
50万円で何をするのかを明示しないと、想定外のことをあれこれ頼まれて断ることもできず、自分の首を絞めるハメに。執筆料、企画料、打ち合わせ参加費など、しっかり業務内容ごとに見積もりが書かれていればそんなことも防げます。
クライアントにとってもその方が追加作業が発生したり、継続プロジェクトに移行したときに予算を把握しやすいですね
③ 単価から見積金額を試算
単価を決めたらあとはボリュームとかけ算するだけ。
見積もり発行時と納品時に文章ボリュームやかかった時間などの差がでるのは当然なので、現時点でのトータルボリュームをヒアリングして、かけ算をしましょう。
④ 見積書pdf送付
最後は見積書をつくって、印刷して、印鑑を押して、スキャンしたpdfを送ります。
クライアントによっては捺印不要の場合もありますが、たいした手間ではありませんし、万が一のトラブル回避のためにわたしは見積書には必ず捺印しています。
忘れるな! 見積書の備考欄に記載すべき要素
サブ的要素にみえる備考欄ですが、見積書は「備考欄」の活用が重要。見積書提出時と事情が変わったときに適正な請求ができるよう、予防線の役目をもたせます。
備考欄に書くべきはこのあたり。
- 1記事●●●文字程度を想定
- 文字数が●●●文字を大幅に超えるまとめ系記事などの場合は、1記事●●●円
- 赤字修正は●回までを想定(もしくは原稿納品で完了とし、赤字修正はなし)
- 取材がある場合は、別途1取材あたり●●●円(●時間まで、交通費実費ご請求)
- 打ち合わせがある場合は、別途1回あたり●●●円(●時間程度、交通費実費ご請求)
- 写真撮影が必要な場合は、1記事単価に別途●●●円追加
- 1か月●●本執筆を想定
オウンドメディア運営想定ですが、このような内容を必要に応じて記載しましょう。
ただ「1記事1万円」と書くだけだと、1記事のボリュームや内容問わず、ととらえられて消耗させられる可能性もありますもんね。そんな悪徳クライアントいないと信じたいですけど……
自分の身を守る予防線の役割をもつと同時に、「こういうことができます、これはいくらです」をクライアントが明確に理解して検討できるように、という親切丁寧な行動でもあるんよ
報酬が不十分なら、増額交渉もしよう
無事見積もりを提出して、それが通って受注したとしても、プロジェクトが進んでみると「思ったのと違う」ということは、これまたよくあります。
「ここまでせんとあかんのか……想定より時間食うな」というのはありがちや。
一時的な場合やその原稿だけならぐっとこらえるけど、継続案件の場合は気付いたときに早めにクライアントに相談しないと、消耗してまうで!
見積書の備考欄を書くときに、いろんなシーンを想定して記載しておけば、想定外のことが発生してもそれに沿って交渉すればよし。ただ、備考欄にも書いていない想定外のことが発生し、根本的な見直しが必要な場合もあります。
その場合は、臆せずクライアントに相談しましょう。
こういうことが発生していて、こういう理由で想定より作業がかさんでいるので、報酬をこうしてほしいけどどうだろう、というのを「提案」します。そう、「提案」です。
あまりに割に合わない状態が続くと、自分のなかに不満が溜まって報酬交渉がクレームになりがちや。文句を言って報酬を上げてと伝えるんでなく、論理的に「提案」することでクライアントもしっかり検討してくれるで
あと報酬アップを提案するときは、「………。これ以外のかたちでも構いませんので、報酬の見直しについてご検討いただけると幸いです」と、こちらにも検討する姿勢があることを見せつつ丁寧に締めることで、クライアントが感じる「増額を要求されている感」を消すんや
代理店経由の案件だったのですが、わたしの見積もり時の想定が甘くて、始動してみると企画出しやクライアントからの記事修正などにかなり時間がかかったり、想定文字数の3倍もある記事作成もまれに発生。継続プロジェクトだったので、ある時点で代理店に相談しました。
① 記事単価はそのままにして「企画設計費」を追加し、〇〇〇文字以上の記事は〇〇〇円とする
② 記事単価を△△△円から●●●円にアップ
と選択肢を用意し、結果②で通ったことが。選択肢があることで、都合のいい方を選んでもらえるし、丁寧な印象になります。この場合は①だと記事単価が2種類できてしまい煩雑になることから、②を選んでいただきました。
報酬交渉が通らなかったとしても、ダメ元でやる意味はありますよね。超絶やさしいクライアントでない限り、あっちから増額は提案してくれないでしょうしね(笑)
見積書テンプレートをつくろう
自分用の見積書テンプレートを持っておけば、あとはクライアントや内容、日付などを変更するだけで使いまわしができます。請求書を発行する機会も多いので、ふたつ合わせてテンプレートを持っておくと便利ですよ。
フリーの見積書はネット上にたくさん落ちていますが、必須な項目はこちら。
- 発行日付
- クライアント名
- お見積金額
- 自分の名前(会社)と住所
- 見積もり詳細
- 小計
- 消費税
- 合計金額
- 備考
そのほか、見積有効期限や支払条件などを記載する場合もありますが必須ではありません。
わたしはエクセルで見積書も請求書もオリジナルのテンプレートを用意して使いまわしとるけど、見積書・請求書作成サービスを活用してもええで。
確定申告でおなじみ「弥生」のMISOCAというサービスは、無料登録でも請求書(月5件)と見積書(無制限)を作成できるんで使ってみいや
シンプルデザインでぱっと見で使いやすそうですね! 仕事がそこまで多くないはじめのうちは無料会員でも十分活用できそう!
請求書に関しては、企業によっては独自のフォーマットを用意している場合もあります。見積書はどんな形式でも大丈夫ですが、請求書初回発行時は独自フォーマットや必須項目などがあるかを確認してから発行しましょう。
これで「見積もりください」への対応もバッチリやな!
依頼が増えたり、ブログやHPで集客する場合は、料金表をつくっておくのもアリやで
余談やけど、知り合いの旅行系雑誌のフリーライターさんからは、業界の暗黙のルール的な感じで、報酬の話はプロジェクトが終わったころになってようはくするんだとか。「えっ、そんだけかよ!」ってよくなる、ってボヤいてたわ……。
見積もりを依頼してくれて、プロジェクト始動前に報酬をFIXできるのは良質クライアントということなんかなあ……(なんか悲しい)
- プロジェクトの内容や今までの報酬金額から見積金額を試算する
- 見積書の備考欄を活用して「こんなはずじゃなかった」を回避
- 見積もり金額からの増額交渉もアリ
- 見積書テンプレートは一度作れば使いまわしOK
以上、みみ子(@minimarikon)でした
- 今までの報酬とこれからの希望報酬を考慮して、現在の自分の単価を決める
- 見積書のフォーマットをつくる
- 現在進行中の割の合わないプロジェクトは増額交渉を試みる
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