こんにちは、フリーライターみみ子(@minimarikon)です
〇 本を出版したい
〇 出版するためにどうすればいいか知りたい
〇 わたしでも出版の夢は叶う?
わたしはライターになる前、ただの一般人だった時に大手出版社から本を出せたで。そのときにした行動や出版までの経緯など、わたしの実体験を伝えるわ!
お声がかかるようなインフルエンサーでもなかったし、プロのライターでもなかったわたしだけど、「本を出版する!」と決めてから約2年でその夢を実現。
この記事では、一般人ながらも商業出版したわたしが感じる「本を出版するためのポイント」と出版のためにしたアクションを細かに公開します。「インフルエンサーになる」以外の出版のきっかけをつかめるカモ?
- 一般人が出版するまでの流れ
- 出版するために必要なアクション
- 売り込み時の企画書の書き方
- 著者の印税事情
ド素人が出版に至ったきっかけ
ライター人生のスタートは「出版」でした。
近年よくある「ブログやSNSで人気が高まって出版社から声がかかる」でもなければ、「もともとプロのライターとして雑誌連載を持っていて、連載コラムが書籍化」でもありません。
書くことは好きでしたが、それでお金をもらったことはない完全なる素人。
そこからでも、大手出版社から商業出版して全国の書店やAmazonに自分の本が並ぶ、という夢は叶いました(わたしの場合、出版は夢というよりはミッションでしたけど)。
「本を出そう」と決めたきっかけは、ある作家さんとの出会い
当時、自宅でパン教室を主宰していた私は、生徒さんに誘われて、あるエッセイ作家さんの「わたしらしく働く」というテーマのざっくばらんな勉強会に参加しました。
そこで「本を出す」という選択肢を知り、その日に「わたしも本を出そう!」と決意。
それまでも出版に興味はあったけれど、有名人でもないし、発信力もないし、本を出すということに全く現実味はなし。でも、その作家さんの「わたしも一冊目は持ち込みで出版した」という話を聞いたことで、一気に「わたしでも出版できるぞ」という気になりました。(単細胞の塊)
企画のたまご屋さんに応募しよう!
その作家さんが出版したきっかけは「企画のたまご屋さん」という、一般人の出版企画を厳選して、大勢の編集者にメルマガ配信し、本づくりのスタートを応援してくれるNPO。
出版社を一社ずつまわる前に、まずは企画のたまご屋さんだ!
と考えて、「企画のたまご屋さん」でまずは企画書を配信してもらうべく、アクションを開始しました。
企画のたまご屋さんレポはこちらの記事も
体験して分かった、企画書を通すコツ
「本を出そう」と決意してから、実際に出版して本屋に自分の本が並ぶまで、約2年。
わたしは一体、その2年間何をしていたんだろう、という回想と、出版を実際に経験し、またプロのフリーライターとして食べている今の自分から見て、「出版を決めるために何が必要だったか」を振り返ってみます。
① 何をテーマに本をつくるか決める
当時のわたしはママ向けのアレルギー対応パン教室を主宰していたので、そういうテーマも考えました。が、さらに熱量が高まっていたのは別のこと。より自分が好きなテーマ、熱量高く文章を書けるテーマを選びました。
本を一冊書ける情報量と熱い気持ち、持ってますか?
これ、めっちゃ大事です。WEBメディアの記事とかもそうだけど、書き手の人の楽しんでる気持ちや「この情報みんなに伝えたい!」という熱量は、意外なほどに文字だけで伝わります。
調べた情報をまとめただけだったり、人づてに聞いた情報だけで体感/体験していなかったり、ほかの人が「これいいよ」という情報を鵜呑みにしておすすめしたり、というのは全部読者にバレます。知識の薄さや熱量の低さは、テキストを通じて電波しちゃうんです。
だから「〇〇が死ぬほど好き!」というくらいの気持ちが欲しい。
あなたが発信するその情報、お金を出しても買いたい人はいる?
この視点も大事。今は情報が溢れているので、ネット検索で出てくるような情報に読者はお金を出してくれません。
また、すでに同じテーマでたくさん書籍化されている場合も厳しい。差別化できるポイントがないと、出版社の新刊会議を突破できません。本を出すにはもちろんお金がかかります。自費出版ではない限り、そのお金は出版社がもちます。
なので、「出版社が初期投資してくれるためには、どんな要素が必要か」も考える必要があるのです。
それって、今このタイミングで、その内容で、その人が、出版する意味はあるの?
ただ自分が好きだからという理由でテーマを選ぶと、新刊会議でこう言われてひとけりされます。
もし、SNSのフォロワーが数十万人いて、出版すれば販売部数が見込めるようなインフルエンサーだったら、テーマが弱くても出版は叶うかもしれません。でも、わたしは一般人だったので、切り口勝負一択! 自分の選んだテーマのなかで、競合のいない切り口を本やWEBサイトを見て調べまくりました。
② 企画書をつくる
さあ、次は持ち込みの切り札、企画書作成です。
いや、ところで本の企画書ってなんやねん
営業職だったので企画書はさんざん書いたけれども、本の企画書はまったくわからん! ということで、わたしが参考にしたのは、企画のたまご屋さんのHP内にある企画書実例。
- タイトル
- サブタイトル
- キャッチコピー
- 本書の内容
- 著者プロフィール
- 企画意図
- 読者ターゲット
- 類書との差別化ポイント
などなど、企画書に必要な要素や書くべき内容をじっくり読み込み、知識と技をわが身に蓄えます。
大事なのは、簡潔に、わかりやすく、ロジカルに、そして会わずとも伝わるくらいの熱量を込めて! です。
そして、出版社の方はたくさんの持ち込みをされ、たくさんの企画書に触れ、自分たちでも新しい本の企画を日々考えている本のプロです。ちなみに、みなさん例にもれず一年中多忙です。
その人たちに自分の企画書を最後まで読んでもらうためには、タイトル、サブタイトル、キャッチコピー、著者プロフィールで「この本はなんぞや」と「ほかの本や企画とちょっと違う」がひと目でわかることが必須です。
- インスタフォロワー50万人の100円ショップマスター
- 年間1000個のコンビニスイーツを食べる甘味女王
- 5年で1000世帯の家計診断&家計改善をしてきた若手ファイナンシャルプランナー
例えばですけど、こんな著者像だと「どんな人か&どんな本なのか」興味わきますよね。数字を使うテクは具体的なイメージがわきやすいので、とっても効果的。
自分の実績や経験を数値化できないか、考えてみよう
そして、もう一度言いますが「差別化」が大事です!
まだ言います、「差別化」しないとあなたの企画書は1秒でゴミ箱行きです。
- 今まであった同じようなテーマの本との違いは何か
- 誰のどういう悩みを解消できるのか
- 社会的情勢や流行にどう関係しているのか
- 自分がそのテーマで出版することの優位性はあるのか
- その情報はお金を払ってでも知りたい情報か
など、いろんな疑問を自分にぶつけて、死ぬほど考えてみてください。そして、自分しか書けない切り口の企画書を作り上げましょう。
そして、企画書が仕上がったら、まず誰かに見てもらいましょう。わたしははじめに話したエッセイ作家さんに見てもらいました。
でもちょっと恥ずかしい……
そう思いもしましたが、第三者の目は大事。自分で気付けなかった視点や、抜け漏れしている要素、分かりにくいところなどをガンガン指摘してもらいましょう。
第三者であればもう文章のプロじゃなくても、家族とか友達でいいんじゃないですかね。とにかく自分以外の誰か。
そして意外かもしれませんが、企画書と一緒に完成原稿もほしいところ。このテーマでこれくらいのボリュームと内容の文章が書ける、という具体的な力量を伝えるとともに、本気度が伝わります。
企画がよくても文章が書けないなら、自著としては出せませんから(ゴーストライターを使う手は除く)
③ 出版社やとりまとめている団体に持ち込む
企画書が完成したら、次は拡散のフェーズです。自慢の企画書を、より多くの出版社/編集者に見てもらいます。
ここは数で勝負。
当たり先を厳選している時間があったら、どんどん当たった方がいいです。
なんせ、編集者のみなさんは本当にご多忙なので、そもそも最初の一行を見てもらえるかもわかりません。
数を打つしかない……
そう思ったのですが、子育て中で別の仕事もしている身だったので、時短もしたい(わがまま)。そんなわたしは「企画のたまご屋さん」への企画書送付、一択でした。
企画のたまご屋さんへの持ち込みの流れ
わたしの場合はですが、この流れで進んでいきました。
- 企画書をHPから送付
- 翌日、企画のたまご屋さんのプロデューサー(P)の目にとまって「担当したい」とメールがくる
- 担当Pと企画内容や完成原稿を見直し、修正する
- 企画のたまご屋さん内で検討会にかけられ、メルマガ配信されるかどうかが決まる
- メルマガ配信日が決まり、企画書が数百名の全国の編集者へ配信される
- 配信当日、某大手出版社の編集者から問い合わせがくる
この期間に企画のたまご屋さんのプロデューサーさんとは一度も顔合わせをしていません。メールのみのやりとりで企画を詰めていき、配信まで二人三脚で進んでいきます。
プロデューサーさんは本づくりのプロなので、企画内容や構成など、アドバイスをがっつりしてくれました。自分が考えた企画をダメ出しされてもすねることなく、素直に受け止めて修正をしていきましょう。
あなたは現時点で「本づくり」のプロではありません
実際に出版してみて、出版業界には独特なルールや慣習がたくさんあることを知りました。これから本を出版した人は、出版業界をよく知らない人も多いと思います。自分の意見や思想、理想などを誇示するよりも、業界をよく知る人のアドバイスをしっかり受け止めて軌道修正しましょう。
ちなみに、企画のたまご屋さんから出版が叶うと、印税の30%を報酬として支払うことになります。なので、プロデューサーさんはここが稼ぎどころ。自分が担当した方の出版が、自身の売り上げにつながります。それもあってか、本気で企画づくりを手伝ってくださいました(ちょ、言い方……)。
④ 出版社との打ち合わせ~新刊会議通過
わたしの場合は、メルマガ配信当日に1社からお問い合わせをいただきました。
当時、旅行中にPからその連絡を受けて跳び上がって喜んだなあ
もちろん、メルマガ配信されても、1社からも問い合わせがこないこともざらにあります。なので、配信して24時間くらいが緊張の山場。ここでリアクションがないと、もう諦めムード全開になります。
さて、次はお問い合わせいただいた某大手出版社(A社)との打ち合わせ。それまでにすることは、プロデューサーさんとの企画書や完成原稿の精査/修正です。
わたしは当時、大阪に住んでいたので、東京での打ち合わせのために上京。ちなみに、この時点で書籍化は決まっていませんし、上京費用はもちろん自腹です。
出版社との打ち合わせ時の服装は?
営業職だったので初対面の人にアポをとって営業をかけることは慣れっこでした。が、出版となれば話は別。
あ、あの、当日は何を着ていけばいいですか?(ソワソワ)
と、学生かよ! というレベルの質問をプロデューサーさんにしました。きれいめ普段着にジャケットとかでいいの? それともスーツ? と、正解がまったくもって不明。それほど、出版業界はわたしにとって縁遠い世界でした。
きれいめな服装にジャケット羽織るとか、ラフな感じで大丈夫です
とのお答えだったので、オフィスカジュアルな服装にジャケットを羽織っていきました。個性爆発していてそれがアピールポイントになる人なら、そんな普通の恰好せず、いつものぶっとんだ格好や髪の色で全然いいと思います。就活の面接じゃないので。
打ち合わせには毎回プロデューサーさんも同席してくれますので、まったく業界をつかめないわたしでも安心して打ち合わせに望めました。
出版社との打ち合わせって何を話すの?
出版が決定するまでに数回打ち合わせを行いました。はじめは本全体のテーマや企画内容について。もう少し話が進んでいくと、単行本にするのかムック本にするのか、取材はどうするか、写真はどうするか、ほかにも、本の値段設定やタイトル、帯、台割(ページ構成の設計書)などについても。
ここでの目標は、出版社の新刊会議を突破して出版確定させること、です。担当してくれることになった出版社の編集者さんとともに、新刊会議に向けて企画を詰め、準備を進めます。
この時点でかなり詳細な台割まで落とし込みました。あとは原稿書けばいい、くらいのレベルまでページ構成や企画内容を仕上げてからでないと、新刊会議にかけられません。この時点ではもちろん無給。報酬ゼロなのはもちろん、打ち合わせの交通費なども出ませんので、時間とお金を投資している状態です。
出版確定までの道のりが長い……
しかもこの時点で次男怪獣を妊娠してまして、大きな腹でパン教室のレッスンをこなしつつ、本づくりもして、東京出張もしていました。ハードかつアクティブな妊婦がそこにいました。
出版確定!
そして初回打ち合わせから約10か月……「出版確定しました!」とのメールを編集者さんからもらう日がやってきました。当初の予定より新刊会議通過が遅れて、発売タイミングも1年ほどずれましたが、無事新刊会議を通過。
まさかの夢が叶ってしまった……ワナワナ
ちょっと信じがたくて、「本が出るということは決まり、と思ってていいんですか」と念押しのメールをするわたし。すると……
うち(出版社)が倒産したり、日本がテロにあったりしない限り出版されます!
というお答えをもらって、ひとまず素直に喜べました。きっかけを与えてくださった作家さんにも報告。
ただ、出版が決まったものの、まだまだ課題は山積み。写真は誰が撮るのか、カメラマンは必要か、イラストと写真のバランス、カラーor一部モノクロにするか、本の販売価格などなど。
企画のたまご屋さんは出版したい人と企画を探している編集者をつなぐ役目なので、ここで密な連絡は終了。ここからは編集者さんとのマンツーマンになりました。
⑤ 台割づくり・ページデザイン・取材・執筆・校正
出版が確定してから3か月後、発売日も決定しました。発売は5か月後。その間にやることがわんさかあります。
ちなみにこの時点で次男怪獣が爆誕しており、生後8か月です。
0歳児の次男怪獣をおんぶにだっこしながらパン教室を続けつつ、寝ている合間に台割作成や原稿執筆、ときには次男怪獣とふたりきりで3泊の取材出張にも行きました。ハードかつアクティブだった妊婦は、出産してもなおパワーみなぎり、毎日血走っておりました。
何度も言いますが、この時点で無給・無報酬です。本は出版されて初めて印税というかたちで報酬が入ります。わたしの場合は、取材用のフライトチケットだけ出版社が提供してくれましたが、宿泊費や滞在費、飲食店取材に必要な飲食費などは自腹です。
時間もお金も初期投資すごい……
取材交渉も取材も全部自分で
さらに、まだまだ時間と手間がかかることが……。わたしの本の場合は数十店舗への新規取材や掲載許可をいただくことが必要だったので、エクセルでのリスト化、電話でのアポ取り、HPからの掲載承諾申請、担当者との校正やりとりなどすべて、自分が窓口になって行いました。
そしているんですよ。毎回全然連絡がつかない担当者。電話しても出ないし、メールしても数日間返信ない。メールないからとFAXでやりとりした方もいました。
ほんと、世の中にはいろんな人がいるなあ
しみじみ感じましたね。自分の普通は全然普通ではありませんでした。
そして取材のために0歳の次男怪獣をあちこち連れまわしたわけですが、さすが0歳児。取材出張中に熱を出します。しかも40度! 近所の(と言っても田舎だから車で片道30分)夜間病院にかけこむというハプニングも。無理をさせてごめんよ……と思いつつ、自身にも体力の限界が差し迫っている母ちゃんなのでした。
さて、ここまでで一体何百時間を費やしているのだろう……と今になれば思いますが、本づくりをしている当初は日々新鮮すぎてそんなこと気になりません。ただ毎日進むのみ、ひたすら書くべし、でした。
ページデザインもわたしがやるの!?
著者として台割づくりや取材、執筆が担当箇所かと思いきや、ページデザインまで足をつっこむことに(これが普通なのかはわかりません)。
台割に合わせて、各ページごとにページデザインのラフを書いていきます。
まって、ページデザインは専門分野外すぎる
とおののきつつも、やるしかない。本屋に通いつめ、同じジャンルの本を読みあさり、写真と文章のレイアウト、色の組み合わせ、装飾、フォントなど、未知の分野にズブズブはまっていきます。
ラフをもとに、デザイナーさんがページデザインをしてpdfにして送ってくれたのですが、これがまた感動!
わたしのつたないゴミラフが、こんな素敵なお姿に……♡
本が出版されて本屋に並んだときよりも、初心者すぎる自分のラフから実際の1ページができあがっていく方が感慨深かったです(わたしの夢どこいった)。
ちなみに、ほかにも紙はどれにするか、表紙や帯の素材(紙)をどれにするかも著者である自分もからんで検討していきました。最後まで悩んだのは本のタイトルかな。もう本屋の棚をはしから全部舐めるように見て、タイトル案をたくさん出しましたね。
最後の仕上げは校正作業
石原さとみさんの「校正ガール」で見たあの校正作業がわが身に! 著者ってそこまでやるんですね。本当に知らないことばっかり。
素敵に仕上がったページにすべての文章を流し込み、編集者さんとともに校正作業をしていきます。文字校正をするのはもちろん、印刷後の色味を確認したり、店舗の電話番号や住所の間違いチェック、各店舗への校正依頼なども。
なかでも電話番号確認が大変でした。間違っていると大変なので、実際に電話をかけます(!!)。
本づくりってそんなことまでするんか……(あんぐり)
初稿、再校、最終稿と進み、一番最後は印刷会社に出向きます。1日編集者さんとそこにこもって、実際の紙に印刷した状態で、色や文字の最終チェック。これでようやく校了です。
長い道のりだった……本づくりって時間めちゃかかる
出版後は「本を育てる」フェーズへ
出版しようと思い立ってから約2年。やっとのことで出版が叶ったわけですが、ここで終わりではありません。「本は子どもと同じように育ててあげる」とのこと。出産して終わりではなく、出産がスタートなのです。
ここまでですでにわたしオワコン。これから始まるの!?
体力尽き果てた母ちゃんでしたが、産みっぱなしはよろしくないので、もちろん育てます。本を育てるということは、本を売る、ということ。そしてそれは、本屋に置いてもらう、ということです。
未知の世界「書店まわり」
「書店まわり」という言葉さえ初めて聞きましたが、出版業界では常識のワード&アクション。
出版した本を世に届け、たくさん売るためには、より多くの本屋に並ぶことが必須条件です。本屋と出版社との関係もまた未知の世界。独特な商習慣のある業界だなあとしみじみ感じますが、その話はまた別で。
出版後に必須ともいえる書店まわりですが、著者も同行する場合と、その書店の営業さんや編集者さんのみで行く場合とがあります。わたしの場合はがっつり同行! 東京と大阪の都市部にある、大きめの本屋へ編集者さんと出向きました。
ところで、書店まわりって何するの?
という状態だったわたし。実際の書店まわりでは、
- 自分の本が並ぶ棚カテゴリの担当者さんを呼んでもらう
- 名刺交換してご挨拶
- こんな本が出ましたのでぜひ置いてくださいとプッシュ
- 持参した注文書にその場で注文数を記入/捺印してもらう
- 持参した手作りPOPを渡す
- すでに自分の本が並んでいたらお礼を言って、棚まわりを見やすく整理
- お断りのうえ、自分の本が並んでいる棚の写真を撮影
ということを行いました。担当者さんがご不在の場合は日時を改めて再訪することも。
めっちゃ地道な営業活動やな
わたしは20代のころは上場企業への法人営業をしていて、新規クライアントにプレゼンすることが多かったので、アポを取って、本社の会議室に通されて、担当者へプレゼン勝負!、というのが「営業」という価値観でした。
なので、実際に書店まわりをして、かつ出版社の営業さんはルート営業でなじみの書店を日々まわって「新刊出ました!」「この棚きれいに直しておきますね」「POP持ってきたのでぜひ平置きしてください!」のような営業をしていることを知り、「こういう営業も存在するんか……」と小さな衝撃を受けました。
雑誌やWEBサイトにどんどんPR
たくさんの本屋さんに並べるべく営業活動に邁進するのと同時に、雑誌やWEBなどの媒体で取り上げてもらえるようプッシュをしました。
- ターゲット層が似ている媒体
- 同テーマを扱っている媒体
に、出来上がった本を送ったり、プレスリリースに手書きの手紙を添えて送ったりしました。自分の本のテーマを特集で組んでもらったり、書評で紹介してもらったり、プレゼントコーナーに載せてもらったりと、何かしらの露出がここでの目標です。
カフェにこもって、ひたすら手書きの手紙をカキカキしました
これもかなりの労力を割きましたが、わたしの場合はあまり効果なし。本を提供することでプレゼントコーナーで扱ってくれるところは何社かありました。
自力でインスタを育てて情報発信
これは出版決定してからすぐに開始していましたが、Instagramのアカウントを作りました。もともとプライベートのアカウントを持っていたので、それを出版する本のテーマに特化したアカウントにチェンジ。
SNSでは「本の拡散をして売上につなげる」というのもありつつ、「このテーマに特化したこんな人がいるよ」と世の中に知らしめることが目的でした。自分の知名度が上がって、露出が増えれば、本も売れるだろうと。
また、わたしの場合は実名&顔出しで本を作っていたので、もともと実名&顔出ししていたインスタアカウントをそのまま転用していますが、もちろん新規にアカウント作成してもOK。
特化アカウントに移行するときは、もちろんプライベート投稿を削除しました
実名&顔出し運用とはいえど、「子どもとここ行きました」や「今日はこんなインスタ映えのカフェを発見!」というプライベートなpostと、本に関係したpostが入り乱れるのはよろしくない。なので、本のテーマに関係ないプライベートpostを排除して、テーマを統一することで特化アカウントへ。その方がフォロワーを獲得しやすくなるし、自分が何者かが明確になります。
どうしてもテーマに関係のないプライベートなことを発信したいときは、ストーリーを使いました。フィードはなるべく荒らさずに、統一感が大事。
あれこれして1年でフォロワー2500人に
自分に課したルールは「毎日投稿」。
本と同テーマで、毎回同じフィルターでpicのテイストを揃えて、本と同じターゲット層に向けて投稿を続けると、じわじわとフォロワーは増えていきました。
現在はあまりよろしくないとされるようですが、登録したワードのハッシュタグを付けている人に自動でいいねをつけたりフォローをしたり、というサービスに数か月間登録したことも。
2500人という数字は全然たいしたことありませんが、誰かの発信力や媒体に頼らず、自分で発信できるのがSNSの魅力。がんばり次第で自らが力のある発信者になれます。
気になる印税
さあ、やってきました。みなさん気になる印税のお話です。
印税暮らしとか印税で家が建つとか、叶った?
無理ゲーです(即答)
そう、「印税暮らし」ができるのはベストセラーを連発しているようなひと握りの著者。数千部刷ったくらいの著者で、印税暮らしは夢のまた夢です。
もらった印税公開しちゃう
印税は基本的に刷った冊数×売値×10%。
ただし、初版はもう少し下がる場合も多く、わたしの場合は初版7%、増刷時10%でした。
また、「売れたら印税が発生する」のではなくて、「刷った分だけ」印税が発生します。なので、たくさん刷ったけど売れなかった、という場合も、著者に支払われる印税は同じ。ゆえに、出版社は初版でどれくらい刷るかに悩まされるのです。
また、企画のたまご屋さん経由での出版の場合、仲介報酬として印税の30%を支払う必要があります。なので、印税は[7%×(1-30%)]で実質4.9%でした。
わたしの場合、初版5000部。ちょっとニッチなジャンルで購買層が限られていることもあって、この数字だったかなと。もっと売る力をもつインフルエンサーであれば、初版から万を超えるでしょう。
5000部×1000円(本の定価)×7%(基本の印税から仲介報酬を差し引きした印税)= 24.5万円
これがわたしの初めてもらった印税です。
印税生活にはほど遠い……
取材や執筆などにかけた時間からすると、正直割に合わないと感じざるを得ません。企画書作りからはじめ、本の販促活動まで、本づくりにトータル何時間費やしたかは想像もつきませんが、怖くて時給換算できません……。
しかも取材とか打ち合わせの遠征交通費もかかっています。
でも、もちろん不満はなし。
出版の目的は「稼ぐ」ことではなかったから、いいんです。ボーナス35万もらった! くらいの気持ちです。
重版かかると印税はどうなる?
出版から1年経ったころ、重版のお話がきました。つまり、増刷。足りなくて刷り増すということです。
重版すれば、もちろん印税が発生します。増刷時は初版よりも印税率が上がり10%だったので、仮に2000部増刷すると、14万円の印税になりました(企画のたまごやさんへの増刷時印税30%を引いた額)。
今までで2回、計4000部増刷しているので、わたしの現時点での印税は
24.5万円(初版)+14万円(二刷)+14万円(三刷)= 合計52.5万円
ほど。これにプラスで電子書籍化した分の印税も7%(仲介報酬30%引き後の印税率)入ります。年に1回支払いタイミングがありますが、こちらは微々たるものなので上記には含まれていません。
増刷する際に、掲載店舗が閉店していたりしないかをチェックする作業はありましたが、初版時に比べれば手間はほぼゼロ。なので、増刷されればされるほど、ラッキーボーナス感が高まります。
結論:SNSでDMを待つより、どんどん攻めよ!
終盤は印税への不満タラタラな印象だったかもしれません。でも、何度も言いますが、印税に不満はなし。あれはボーナスです。本を出版するという経験ができたし、本を名刺代わりにその後の仕事の営業がしやすくなるので、全然いいです。
ということで、出版したいと夢描く人へのアドバイスをひとことでまとめると、これです。
攻めよ
SNSでインフルエンサーになって出版のお声かけを待つのもいいですけど、それっていつ来ますか? フォロワー〇〇万人になったら絶対に来ますか?
そうじゃない。自分からアクションをして、攻めてください。
- 本のテーマを決める(リサーチ必須)
- 企画書書く(第三者チェック必須)
- 原稿書く(100%完璧に仕上げなくてもいいです)
- 出版社や仲介に持ち込む(数勝負)
これを何度もしてください。ひと企画目がダメなら、もう一度①に戻ってやり直す。何度も、何度も。
わたしは幸い1企画目で通りましたが、ダメだったら別のテーマで企画書書こうと思っていました。また、1冊目を出版したあとも、次の企画書を書いていました。行動力、大事です。
わたしは1冊しか出していないので、出版のプロでも、プロの著者でもありません。この記事は、ただのド素人が出版までこぎつけたアクションと振り返って感じる出版のポイントをまとめた記事です。もっと知らない出版事情や業界の慣例などがあるかもしれませんので、あくまでわたしの場合はこうだった、ということで。出版を夢見る人のすこしの手助けになればうれしいです。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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